コラム 第46回管理監督者も対象となる労働時間の状況把握
2019年4月に施行された働き方改革関連法に伴い、労働基準法や労働安全衛生法が改正されました。
その際、管理監督者の労働時間の状況把握が義務化され、注目を集めました。
法改正から約3年経ちましたが、管理監督者の状況把握は進んでいるでしょうか。
人事労務管理で問題になるポイントを、解説いたします。
■ そもそも労働基準法上の「管理監督者」とは?
会社内で管理職としての地位にある労働者でも、労働基準法上の「管理監督者」に当てはまらない場合があります。例えば、会社では「店長」を管理職と位置づけていても、実際に労働基準法上の「管理監督者」に係る判断基準からみて、十分な権限もなく、相応の待遇等も与えられていないと判断される場合には「管理監督者」には当たらず、残業手当を支払わないでよいということにはなりません。
「管理監督者」に当てはまるかどうかは、役職名ではなく、その職務内容、責任と権限、勤務態様等の実態によって判断します。
■ 管理監督者は労働時間を管理しなくてもいいのか?
まず、労働基準法上の管理監督者に当てはまる労働者であっても、深夜労働(午後10時から翌朝5時まで)の割増賃金は支払い義務があります。また、労働安全衛生法では「労働時間の状況の把握」が求められています。労働時間の状況把握の方法については、労働時間の適正把握と同様に、勤怠ソフトでの記録やパソコンのログの記録など客観的な方法や、その他適切な方法により行うことが求められています。どのような時間帯にどの程度の時間、労務を提供し得る状態にあったかを把握するものになります。
労働時間の状況把握の結果、時間外・休日労働が1ヶ月あたり80時間を超えた場合、その他の労働者と同様に従業員本人にその旨を通知する必要があります。そして通知の結果、労働者が医師の面接指導を希望する場合は実施義務があります。
いかがでしょうか?管理監督者の労働時間の状況の把握ができていない会社はこれを機に見直しをしていただければと思います。
勤怠ソフトの中には、長時間労働が発生しそうだということを予測して、アラームを鳴らしてくれるものもあります。人が目で見て判断するよりもこういった機能を利用して、労働時間を減らしていく取り組みをおすすめ致します。
2022.12.26