コラム 第39回テレワークを継続したい割合は80%超

コロナ禍で急速に導入が進んだテレワークですが、重点措置や緊急事態宣言が発出されるとテレワークの実施率が上がり、解除されると下がる。このようなジグザグ傾向が2年前から継続していました。
しかし、2020年は緊急事態宣言が解除されると週3日以上テレワークする人の割合が22.0ポイントも減ったのに対し、その後2021年には振れ幅が12.4~13.2ポイントまで縮小。直近の2022年調査では、重点措置の最中と解除後の差が4.4ポイントまで縮小しました。
振れ幅の縮小から、このまま一定数の企業がテレワークを継続するかたちで安定することが予想されます。

一方、労働者に対して国土交通省が行った意識調査では、コロナ収束後もテレワークを続けたいと考える雇用型テレワーカーが多いことが明らかとなりました。
同調査結果によると、雇用型テレワーカーの89.4%が今後もテレワーク継続意向があるとしています。その理由をまとめると、下表のとおりです。

  全体 営業 管理職 事務職
通勤時間の有効活用 42.5 44.9 44.6 41.8
通勤の負担軽減(コロナ対策としての密回避は除く) 30.2 27.0 31.1 30.0
家庭の事情(育児・子育て、介護等)に対応するため 8.0 7.6 4.8 9.5
個人の事情(病気、資格取得、兼業・副業、趣味等)に対応するため 3.6 2.9 3.0 4.1
仕事環境の改善(仕事の効率化、職場でのストレス軽減等) 13.1 15.0 13.2 12.6
事業継続対策として(コロナ対策を除く) 2.2 2.3 2.9 1.7
その他 0.5 0.3 0.3 0.3

表の結果からもわかるように、個人のライフスタイルに合わせた労働環境を実現できるのは、テレワークを導入するうえでの大きなメリットといえます。

しかしその一方で、メディアでも『コロナうつ』『テレワークうつ』と話題になっているように、テレワーク導入によって生活パターンが変わりメンタルヘルスに不調をきたす人も増えています。

その原因は様々で

  • 外部とのコミュニケーション不足
  • パソコンに向かい長時間椅子に座ったままの状態
  • 仕事とプライベートの区別がつきにくい など・・・

テレワークうつは、労働者本人だけの問題と捉えるのではなく、会社として対策を講じていくことも大切です。

たとえば、

  • テレワークを導入している労働者に意識調査を行いストレス度合いを把握する
  • リモートでもコミュニケーションが取りやすい環境を整える
  • 発症メカニズムを周知し、個人での対策も促す。(適度な運動など)

そして何より、職場=自宅であることで、仕事とプライベートの境目が曖昧になり、結果的に長時間労働につながるという事態を防ぐためにも、労働者の適切な労働時間の把握はとても重要となります。

テレワークうつ防止については、安全配慮義務の一環として会社が積極的に取り組んでいくと良いでしょう。

多様な働き方の一つの方法として、今後もテレワークの導入企業は増えるでしょう。
メリットとデメリット、双方を理解し活用していきましょう。

2022.05.30