コラム 第26回国会で審議が進められている男性の育児休業の取得促進等について

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現在国会では、男性の育児休業(以下、「育休」という)の取得を促進するための法改正を審議しています。今後少子高齢化が進み、人材確保がより困難になっていくことが予想されるため、企業が従業員の多様な働き方に理解を示し、従業員が働き続けやすい職場環境を整えることが重要であるとの考えから、男性の育休取得促進は最重要の政策となっています。

今回は現在審議されている内容のうち、主だったものについて確認していきます。


  • 1.男性の育休取得促進策
    • (1)出生時育休の創設

      子どもの出生後8週間以内に、4週間まで取得することができる柔軟な育休の枠組みが創設される予定です(出生時育休)。出生時育休では、より休業を取得しやすいように、休業の申出期限を原則休業の2週間前までとし、2回に分割して取得することができるよう検討されています。

      また、労使協定を締結している場合に、従業員と事業主の個別合意により、事前に調整した上で出生時育休中に就業できるようにすることも改正法案に含まれています。

    • (2)雇用環境整備と個別の周知・意向確認義務

      妊娠・出産をした従業員や、配偶者が妊娠・出産をした従業員が申し出たときに、個別に育休等の制度の周知および育休の取得意向の確認のための措置を講ずることが、事業主に義務づけられる予定です。

    • (3)育休の分割取得

      現行の育休は、一定の事由がない限り1子につき1回のみの取得です。これを分割して2 回まで取得することができるようになる予定です。

    • (4)育休取得状況の公表義務付け

      常時雇用労働者数が1,000人超の企業に対し、育休取得状況の公表が義務付けられる予定です。

    • (5)有期雇用労働者の取得要件の緩和

      有期雇用労働者の育児休業および介護休業について「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」という取得要件が廃止される予定です。 ただし、 労使協定を締結した場合には、無期雇用労働者と同様に、引き続き雇用された期間が1年未満である労働者を対象から除外することができるように検討されています。

  • 2.社会保険関係の改正
    •  1.の変更に伴い、雇用保険の育児休業給付に関しても必要な変更が行われ、また、 出産日のタイミングによって育児休業給付の受給要件を満たさなくなるケースを解消するため、被保険者期間の計算の起算点に関する特例が設けられる予定です。

      さらに、短期の育休の取得に対応するため、月内に2週間以上の育休を取得した場合には、その月の社会保険料が免除されるようになり、賞与に係る社会保険料については1ヶ月を超える育休を取得している場合に限り、免除の対象とすることも検討されています。

2021年4月13日現在、国会で審議が行われている状況ですが、成立後には就業規則(育児・介護休業規程等)の大幅な変更が必要になります。また、育休取得や短時間勤務等も拡大していくことで適切な勤怠管理等も行えるように対応していく必要がありますので、事前に概要を確認しておきましょう。なお、改正法が成立すると2022年4月以降、複数回に分けて施行される予定です。

2021年4月13日現在の情報に基づき作成しています。

2021.04.30