コラム 第22回人事労務管理分野での官公署への届出における押印廃止について
現在、官公署等へ届け出る多くの書類は、法令や慣行等により押印が求められています。この押印に関し、原則としてすべての行政手続について、一定の基準に照らして廃止する手続きが順次進められており、人事労務管理分野における書類についても廃止が予定されています。そこで、今回はどのような書類について廃止が予定されているのかを見ていきます。
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1.労働基準法関係の押印廃止
労働基準法施行規則では、「時間外労働・休日労働に関する協定届」(36協定届)や「1年単位の変形労働時間制に関する協定届」を始めとし、30近くの様式において会社の押印を求めています。今後、それらの様式等について使用者および労働者の押印欄が削除され、法令上、押印や署名が求められないこととなります。
これに加え、押印が求められる様式のうち、36協定届等の過半数代表者の記載のある様式については、一部で過半数代表者が適切に選任されていない状況を踏まえ、適切な選任かを確認するチェックボックスが様式上に設けられました。
2020年12月22日に改正省令が公布され、2021年4月1日に施行されます。
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2.社会保険関係での押印廃止
健康保険や厚生年金保険の手続きでは、すでに押印による届出のほかに、事業主が署名することで押印を省略できることとなっています。今後は、金融機関に対する届出印を押印する必要がある「保険料口座振替納付(変更)申出書」を除き、全面的に押印が廃止される予定です。
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3.新型コロナ拡大防止のための取扱い
2.に加え、日本年金機構では新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の感染防止の観点から、暫定的に事業主の押印または署名がない届出であっても、当分の間受理するとしています。
協会けんぽにおいても新型コロナの感染防止の観点から、一部の届出においては、 事業主の押印や署名を省略できるとしています。ただし、傷病手当金支給申請書や出産手当金支給申請書は、特に慎重に届出の真正性を確認する必要があることから、 事業主の押印や署名が引き続き求められます。この際、法務局が発行する法人の印鑑証明書や印鑑カードの写しを届出等に添付する場合等については、届出の真正性が確認できるとし、事業主の押印や証明の省略を認めています。
行政手続きで押印が必要なもののうち、ほとんどの手続きで押印が廃止(廃止済・廃止決定を含む)される予定です。押印や署名の廃止で、手続きの時間短縮や効率化が期待されます。引き続き、今後の情報にも注目していきましょう。
2020.12.29