コラム 第04回人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)について
今年度より新たに創設された助成金で、働き方改革に取り組む上で、人材を確保することが必要な中小企業が、新たに労働者を雇い入れ、一定の雇用管理改善を図る場合に助成されます。
本助成金を受給するためには、時間外労働等改善助成金(時間外労働上限設定コース、勤務間インターバル導入コース、職場意識改善コース)の支給を受けた中小企業事業主が、新たに労働者を雇い入れることや雇用管理改善の取組(人材配置の変更、労働者の負担軽減等)に係る雇用管理改善計画(1年間)を作成し、都道府県労働局の認定を受ける必要があります。
本助成金は、計画達成助成と目標達成助成とに分けられています。
計画達成助成
まず、計画達成助成についてですが、下記(1)、(2)及びその他各種要件を満たすことで受給することができます。
- (1)雇用管理改善計画に基づき、雇用管理改善計画の開始日(以下「計画開始日」という。)から6か月以内に対象労働者(※1)を新たに雇い入れ、雇用管理改善を実施すること。
※1「対象労働者」とは次の(ア)から(オ)のいずれにも該当する労働者をいいます。
- (ア)次のa又はbのいずれかに該当する者。
- a 期間の定めなく雇用されている者
- b 一定の期間を定めて雇用され、その雇用期間が反復継続され、事実上期間の定めなく雇用されている場合と同等と認められる者。具体的には、雇い入れ時に一定の期間(1か月、6か月など)を定めて雇用されていた労働者が、採用の時から1年を超える期間について、引き続き雇用されると見込まれる場合であること。
- (イ)計画開始日から6か月以内に雇入れ、事業主に直接雇用される者であること。
- (ウ)雇用保険被保険者(雇用保険法第38条第1項に規定する「短期雇用特例被保険者」及び同法第43条第1項に規定する「日雇労働被保険者」を除く)であること。(雇用保険被保険者の中には雇用保険法第37条の2第1項に規定する「高年齢被保険者」が含まれることに留意すること。)
- (エ)社会保険の適用事業所に雇用される場合は、社会保険の被保険者となること。(社会保険の要件を満たすものに限る)。
- (オ)計画申請日の1年前の日から計画開始日の前日までの期間において、雇用保険被保険者として申請事業主が直接雇用していた者でないこと。
- (ア)次のa又はbのいずれかに該当する者。
- (2)対象労働者を1年を超えて雇用しており、かつ、計画開始日の前日と雇用管理改善計画期間の末日の翌日の雇用保険被保険者数を比較し、人員増(※2)となっていること。
※2計画開始日の1年前の日から計画開始日の前日までの期間において、申請事業主の元で従事していた労働者(派遣労働者や出向者等)を新たに雇い入れるのみで、申請事業主の元で従事する労働者の数が計画開始前後で比較し実質的に変わらない場合は人員増とみなさない。
目標達成助成
次に、目標達成助成についてです。下記(1)、(2)及びその他各種要件を満たすことで目標達成助成が支給されます。
- (1)計画達成助成の支給を受けた後、引き続き労働者の適正な雇用管理に努め、計画開始日の前日と計画開始日から起算して3年を経過する日の翌日の雇用保険被保険者数を比較した場合に人員増となっていること。
- (2)生産性の向上
対象労働者を最初に雇い入れた日の属する会計年度の前年度とその3年後の会計年度を比較した生産性の伸びが6%以上であること。
計画達成助成・目標達成助成ともに、労働者の適切な雇用管理に努める事業主であること、同一事業主の全ての雇用保険適用事業所において事業主都合による解雇等していないこと、各計画期間中の離職率が30%以下であること等の要件があります。
支給額
本助成金は、下表の額が支給されます。
計画達成助成 | 新たに雇い入れた労働者1人あたり60万円(短時間労働者の場合40万円) |
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目標達成助成 | 生産性要件を満たした場合、労働者1人あたり15万円(短時間労働者の場合10万円) |
- 計画達成助成
労働者の上限は10名とする。
ただし、下記(ア)又は(イ)のいずれか少ない人数を支給の算定人数の上限とする。- (ア)雇用管理改善計画に基づいて、計画開始日から6か月が経過する日までに雇い入れ、当該雇い入れ日から1年経過し、申請期間の初日に在籍している対象労働者数
- (イ)計画開始日の前日と計画期間の末日の翌日の雇用保険被保険者数を比較し、人員増分となる雇用保険被保険者数
- 目標達成助成
下記(ア)又は(イ)のいずれか少ない人数を支給の算定人数の上限とする。- (ア)計画開始日の前日と計画開始日から起算して3年が経過する日の翌日の雇用保険被保険者数を比較し、人員増分となる雇用保険被保険者数
- (イ)計画達成助成時の支給の算定人数
時間外労働等改善助成金(時間外労働上限設定コース、勤務間インターバル導入コース、職場意識改善コース)の支給を受けていることが要件となっているのが特徴です。時間外労働の削減に取り組むことで、業務量が変わらないとすれば、人員増加させる必要が出てくるので、その人員増加に対する助成をするという理屈です
勤務間インターバル導入コースの申請と組み合わせるのがベストです。弊所の顧問先にも、この機会に時間外労働を減らすために、労務管理研修や勤怠ソフトを導入し、勤務間インターバル導入コースの受給後に、本助成金の申請をするという順番をお勧めしています。
2019.06.07