column 社労士コラム

管理監督者の労働時間の状況把握

コラム 第63回

2024.06.01

管理監督者には、労働基準法第6章に掲げる労働時間、休憩及び休日に関する規定は適 用されませんが、労働安全衛生法の定めにより、労働時間の状況を把握する義務があります。労働時間の状況と労働基準法の労働時間は計算方法が異なります

労働時間の状況を把握する方法としては、原則として、タイムカード、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間(ログインからログアウトまでの時間)の記録、事業者(事業者から労働時間の状況を管理する権限を委譲された者を含む。)の現認等の客観的な記録により、労働者の労働日ごとの出退勤時刻や入退室時刻の記録等を把握しなければならないとされています。勤怠ソフトで管理していれば問題ありません。

労働時間の状況把握の結果、時間外・休日労働時間(休憩時間を除き1週間当たり 40時間を超えて労働させた時間)が、1月当たり80時間を超えた労働者に対して、その超えた時間に関する情報を通知しなければならないとされています。こちらは、給与明細に時間外・休日労働時間数が記載されている場合には、これをもって労働時間に関する情報の通知としても差し支えありません。なお、通知の結果本人が面接指導を希望する場合は、事業者は面接指導を実施しなければならないとされています。

以下に労働基準法(労働時間)と労働安全衛生法(労働時間の状況)の考え方の違いについて整理します。

■ 労働基準法の考え方

  • 1日8時間、週40時間を超えた時間を時間外労働とする
  • 法定休日に労働させた時間を休日労働とする
  • 変形労働時間制の場合は別途集計方法が異なります。

■ 労働安全衛生法の考え方

時間外・休日労働時間数=1ヶ月の総労働時間数-(計算期間(1ヶ月間)の総暦日数 / 7)×40

(1ヶ月の総労働時間数=労働時間数+延長時間数+休日労働時間数)


このように、労働基準法と労働安全衛生法では考え方が異なります。このように複数の集計をする場合でも、勤怠ソフトに設定をしておけば、手間を増やすことなく、正しく集計することができます。ぜひ確認をしてみてください。