地域別最低賃金の改定について
コラム 第54回
今年度の最低賃金は大幅な引上げが確実となっております。実際に地方最低賃金審議会が答申した令和5 年度の地域別最低賃金の改定額が厚生労働省により取りまとめられ、 改定額と発効予定年月日が公表され、審議会の目安を上回り、昨年度から43 円引上げの全国加重平均1,004 円が示されておりました。
そもそも最低賃金とは
最低賃金法に基づき、国が定めています。最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定(産業別)最低賃金」とがあり、「地域別最低賃金」は都道府県ごとに労働者の生計費、労働者の賃金、通常の事業の賃金支払い能力を総合的に勘案し決定されています。
使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければなりません。仮に、最低賃金額より低い賃金を、労使双方の合意の上で定めたとしても、それは法律によって無効となり、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされます。なお、最低賃金は、雇用形態にかかわらず、すべての労働者に適用されます。
最低賃金の対象となるのは毎月支払われる基本的な賃金です。最低賃金を計算する際には、実際に支払われる賃金から以下の賃金を除外したものが対象となります。
- 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
- 1 ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
- 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
- 所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
- 午後10 時から午前5 時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算学を超える部分(深夜割増賃金など)
- 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
(厚生労働省 必ずチェック最低賃金 より)
最低賃金のチェック方法
時間給の場合 | 時間給≧最低賃金額(時間額) |
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日給の場合 | 日給÷1 日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額) |
月給の場合 | 月給÷1 ヶ月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額) |
詳しくは、最寄りの都道府県労働局や労働基準監督署に確認するようにしましょう。
今回の地方最低賃金審議会の答申のポイント
- 47 都道府県で、39 円~47 円の引上げ
- 改定額の全国加重平均額は1,004 円(昨年度961 円)
- 全国加重平均額43 円の引上げは、昭和53 年度に目安制度が始まって以降で最高額
- 最高額(1,113 円)に対する最低額(893 円)の比率は80.2%
改定額は異議申出に関する手続を経た上で、都道府県労働局⾧の決定により、10月1日から10月中旬までの間に順次発効される予定です。 今のうちから、最低賃金額を下回る従業員がいないか、確認の上、対策を検討しておきましょう。